いよいよ2021年4月より、働き方改革関連法に定められた「同一労働同一賃金」が始まります。
これは全企業の99.9%が中小企業及び小規模事業者が占めている沖縄においても、例外なく適応されなくてはなりません。
こちらではこれから準備を始める企業さまに、「同一労働同一賃金」についてわかりやすくご案内させていただきます。
「働き方改革」は、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。(厚生労働省HPより)
働き方改革関連法が成立した背景には、少子高齢化による人口の減少・労働力の不足があります。
日本人の人口は2008年にピークを迎え、その後は減少の一途を辿ると言われています。
人口の減少に伴い、問題になってくるのが労働力の不足です。
働き方改革関連法は以下の3本の柱から成り立っています。
1「長時間労働の是正」
2「正規・非正規の不合理な処遇差の解消」
3「多様な働き方の実現」
働き方改革関連法は2020年4月より順次施行されています。
非正規社員…短時間労働者(パート)有期雇用労働者(契約社員)を雇用している企業様が対象となります。
・正規雇用労働者(正社員)か非正規雇用労働者(パート・契約社員)かといった雇用形態にかかわらず均等・均衡待遇を確保することを目的としています。
・正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
・同一労働同一賃金は正社員と非正規労働者(パート・契約社員)の均等均衡。
・外国人技能実習生も有期雇用労働者の対象となりますのでご注意ください。
・施行時期については大企業及び人材派遣業は 2020年4月1日、中小企業及び小規模事業者は2021年4月1日から施行されます。
・同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給、昇給や賞与、各種手当、教育訓練や福利厚生など、あらゆる待遇について不合理な差を設けることを禁止しています。
・事業主は正社員と短時間労働者・有期雇用労働者の働き方の違いに応じて、均衡な待遇(均等な待遇)の確保を図るための措置を講じなければなりません。
均衡待遇とは
(不合理な待遇差の禁止)
①職務内容:業務の内容及び責任の程度
②職務内容・配置の変更の範囲で処遇を決定
③その他の事情の違いに応じた範囲内で待遇を決定する必要があります。
均等待遇とは
(不合理な待遇差の禁止)
(差別的取扱いの禁止)
①職務内容:業務の内容及び責任の程度
②職務内容・配置の変更の範囲で処遇を決定
・同一労働同一賃金には罰則規定はありません。
ですが、違反すれば行政から指導を受けたり、雇用労働者から訴訟を起こされるケースもありますので注意が必要です。
(以下参照)
※待遇差が不合理か否か、説明の方法・内容が適切であるか否かは、最終的に司法により判断されることになります。
先だって2020年4月1日より施行された大企業においても 現在、同一労働同一賃金に関する雇用労働者側からの訴訟が相次いでおり、個別に判決が出ています。訴訟が増えている背景には、「同一労働同一賃金」は全ての雇用労働者に関わる問題であるにもかかわらず、企業側から雇用労働者に対して十分かつ合理的な説明がなされていないことが原因のひとつと考えられます。
自らの労働賃金の処遇に関わる身近で重要な問題ですので、雇用労働者も企業側からの説明に納得できなければ、訴訟を起すケースが増えているのが現状です。
ここで重要となってくるのが「判例」なのですが、判例についてもケースバイケースというのが実状で、雇用労働者の実情がそれぞれ違うことから、すべての訴訟に対して個別の判決があると受け止める必要があり、同じような事例であっても、勤務年数や職務経験など雇用労働者によって違いが生じるため、判例が異なるということを認識する必要があります。
派遣社員の扱いについて
「同一労働同一賃金」には、派遣社員も対象となっていますが、
派遣会社は大企業と同じく2020年4月より「同一労働同一賃金」が既に施行されています。
派遣会社の多くは企業様の規定に定める「同一労働同一賃金」ではなく、「労使協定方式」を導入しています。
・派遣社員の処遇について、労使協定を派遣会社と派遣労働者の過半数を代表する者との間で締結する方式です。
・厚生労働省が職種ごとに定める「一般労働者の賃金水準」以上を支給することが義務づけられています。
・この場合、賃金額については、派遣先企業様の従業員待遇と同等にする必要はありません。